材料:タモ、桐(引き出し内部)、黒檀(引き出しつまみ)
サイズ:横幅 370mm 奥行 510mm 高さ 600mm
仕上げ:砥の粉、無臭柿渋、えごま
組立:ホゾ組み
※ボンド使用(フランクリンタイトボンド3 FDA(米国食品医薬品局)承認 食器に使用可)
大変お世話になっておりますお師匠様への誕生日プレゼントとして制作。
天板や棚に置いた物が簡単には落ちぬよう端を立ち上げたかったのですが、天板や棚板として使用する幅が約500㎜ある板の伸縮(動き)を妨げずにどのように立ち上げるかをずいぶん悩みました。
時間をかけ色々と調べ、天板と棚板は額縁のように囲むことに決定。
また掃除の際には毎回動かされるとのことでしたので、天板と足との接続は駒留では無く吸いつき桟を採用しました。
中にはめ込む天板や棚板は伸縮できるよう一部を除き固定しませんので、四方を囲む枠の強度は枠のみでしっかりと取る必要があります。そのため、天板の枠は一見しますと45度カットされた材を貼り合わせているだけに見えますが、内部はしっかりホゾ組となっています。
天板手前は、置いた物を手前に取りやすいよう高さを下げ、下の棚は三方を10㎜の材で囲み、置いた物が簡単に落ちないようにしました。
引き出しは以前に、吊り桟を覚えなさいとお師匠様から伺っておりましたので、今回初トライ。(引き出し内部の桐材にも無臭柿渋が塗られています)
また引き出しノブは、いくつになられても持ちやすく、かつ少ない力で引き出せるよう、大きさや角度等を工夫しました。
タモ材を使った家具造りは初めてでしたが、お師匠様から伺っていた、導管を埋める目止め処理として砥の粉を使用し、砥の粉を柿渋で抑える方法を取ることで、非常に手触りの良い家具に仕上がるだけでなく、落ち着いた色合いになることを発見。
初めてづくしでかなり手間はかかりましたが、とても良い経験になりました。
・・・後日談として
お師匠様宅にお伺いするたびに板の伸縮度合いをみていますが、板幅約500㎜で、冬季と春では3mm程度?動いているように思えます。
天然の木は本当、面白いですね。